スカウト運動の概要
◆スカウティングとは・・・
スカウティングは、この活動に自発的に参加する青少年のためのものです。
人種、信仰などの区別なく、すべてに開放されており、キャンプや奉仕活動を通じて学区や学年を超えた、地域社会における教育活動です。そして、その教育には青少年たちが自ら成長できる段階的なプログラムが用意されています。
スカウティングは、学校や家庭では達成できないものを補完していくものです。
スカウティングは、青少年の体力や健康、協調性やコミュニケーション能力、リーダーシップ、心の平和といった、一人の人間として身体的、知的、社会的、精神的発達を促す活動です。
スカウティングは、青少年が自らの能力を自発的に開発するものです。
青少年の自分の知識及び探究心、発見や理解を広めたいという願望を満たすものです。楽しいゲーム、ハイキング、キャンプを行なうことによって自らの能力を開発していきます。
◆ボーイスカウト教育について
ボーイスカウト教育とは、班制教育(小グループ活動)と進歩制度を主として野外活動を通して行う独特の教育システムから成り立っています。
対象年代は幼児の年長から大学生年齢までの5つの部門にわかれており、その年代の特性に応じたプログラムが一貫した教育システムに基づいて展開されます。
○班制教育(小グループ活動)
班は、少年の心理に適した小さい自治的なグループで、班制教育はそのグループ活動を通じて協力心と責任感を養おうとするものです。指導者はこの制度によって少年たちのそれぞれの個性を良く見て指導します。
○進歩制度
自分あるいは仲間たちで計画し、実行して、評価することにより、さらに次のステップへ挑戦する進歩制度があります。その年齢に応じて身に付けて欲しい、知識や技能、社会性など、予め明示されたいろいろの課目を成し遂げることによって、次のように上級のスカウトに進んでいく制度です。
ボーイスカウト年代(小学校5年生9月〜中学校3年生8月末まで)では、初級⇒2級⇒1級⇒菊と進級し、ベンチャー年代(中学校3年生9月〜成人1日前まで)では、ベンチャー章⇒富士章となっています。
また、将来社会人となる上で必要とされる各種の技能を自分で選択し、それを修得することによって個性に応じた能力を啓発する目的で技能章というしくみを併せもっています。
高校生年代には、ベンチャープロジェクトという特筆すべき進歩制度も用意されています。スカウトが掲げた目標を自らが達成(自主学習)し、評価を得て進歩の認定を受けるものです。プロジェクトを一つ達成させるごとに7つの分野に設定されたアワードを獲得することができます。
7つの分野には、「社会・地球環境」「国際文化」「高度な野外活動」「体力づくり」「文化活動」「専門・得意分野の研究」「奉仕活動」があります。
スカウト運動の歴史
この運動は20世紀初頭のイギリスで、少年たちの手によって誕生しました。
1907年、イギリスのベーデン・パウエル卿(BP卿)が、イギリスのブラウンシー島での20人の少年たちとともに実験キャンプを行い、この結果と自らの体験を基に「スカウティング・フォア・ボーイズ」(少年たちのための斥候術)という本を発行しました。
BP卿は、軍人時代に自らが体験したキャンプ生活や自然観察、自然体験は、少年たちの旺盛な冒険心や好奇心と結びつけたゲームや野外活動にすることにより、自立心や協調性、リーダーシップを身につけさせ、社会に役立つ人材を育成する方法であると確信したのです。
本が出版されるとまたたく間に少年たちに読まれ、そこに書いてあることを実行しはじめたのです。少年たちは周囲の大人たちに「僕はボーイスカウトになりたいから、隊長になってください」と申し出るようになりました。そして、翌年には青少年の健全な成長を願う大人たちとともに海を越え、現在では世界の217の国で2900万人の人がこのスカウトの活動に参加するようになりました。
ボーイスカウトの教育法は、少年たちの自発性と積極性を助長し、その個性を伸ばしながら集団の中での自分の責任を自覚した立派な人間に成長するよう充分な配慮がなされています。
ボーイスカウト年表
・1907年、B-P卿によるブラウンシー島での実験キャンプ。
(スカウトの最初のキャンプ)
・1908年、イギリスでハードカバー版「スカウティング・フォア・ボーイズ」刊行
・1908年、日本にボーイスカウト運動が伝わる。
・1909年、スカウト運動がアメリカへ伝わる。(「無名スカウトの善行」)
・1910年、文部省督学官だった蒲生保郷が、英国ボーイスカウトに関する書籍を桂太郎首相と小松原英太郎文部大臣に贈呈し、政府に「日本でも少年団活動を検討すべし」との建白書を提出する。
・1911年、B-Pが訪英中の乃木希典大将と会見。
・1913年、東京で「少年軍」が設立。(後に「少年団」と改称)
・1916年、イギリスで「The Wolf Cub’s Handbook」出版。
ウルフカブ(カブスカウト)はじまる。
・1916年、「少年団日本連盟」が発足。初代総長は後藤新平男爵。
・1919年、ギルウェル指導者実修所(ギルウェル・パーク)開設。
・1920年、ロンドンで第1回世界ジャンボリー開催。そこでB-Pが「世界の総長」に選出される。
・1921年、ロンドンにおいて、昭和天皇(当時は皇太子)にB-Pが謁見し、英国ボーイスカウトの最高功労章であるシルバー・ウルフ章を贈呈する。
・1947年、「財団法人ボーイスカウト日本連盟」として再発足。
初代総長は三島通陽。
・1952年、カブ、シニア、ローバーの各プログラムを制定。
・1956年、第1回日本ジャンボリー開催。(軽井沢)
・1971年8月、第13回世界ジャンボリーが日本で開催。
・1986年、ビーバー隊を発足。(翌年、「ビーバースカウト」と改称)
・1995年、ビーバー隊から指導者までのすべての部門において、女子の受け入れが認められる。
・2007年、ボーイスカウト活動発足100周年。